余命10年、実話が原作。父の涙に号泣。映画ラストに感じた気持ち

映画

前略 高林茉莉さま

この物語の結末は映画館にいる誰もがわかっています。
だからこそ、あなたが10年と宣告された時間をどんな風に過ごし、
そしてどんなエンディングを迎えるのか。

わたしは、あなたの生き様を見届けたくて、
スクリーンの中のあなたと向き合いました。

「どうして、私なの…」そんな失意から葛藤、苦しみを越えて、
前向きに生ききろうとする茉莉さんの姿を見れば見るほど、
ラストシーンはハッピーエンドであってほしい
そう願わずにはいられなかった。

ハッピーな気持ちでエンドロールを見たかった…

映画「余命10年」あらすじ

数万人に一人という不治の病で余命が10年であることを
知った二十歳の茉莉。

彼女は生きることに執着しないよう、
恋だけはしないと心に決めて生きていた。

そんなとき、同窓会で再会したのは、かつて同級生だった和人。

別々の人生を歩んでいた二人は、この出会いをきっかけに
急接近することに——。

もう会ってはいけないと思いながら、
自らが病に侵されていることを隠して、
どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。

——「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。

思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。

二人が最後に選んだ道とは……?

印象的な3回の抱擁の意味を考える

茉莉と和人の3回の抱擁がすごく印象的でした。

初めは付き合い始めの頃。
デートを重ね、お互いに好意を持ち、
もう少し深い関係へ…というようなタイミングでの抱擁。

でも、茉莉は和人に全てをさらけ出す覚悟ができず、
その場から立ち去ってしまう。

まだ自分一人で辛さを抱え込む茉莉が
可哀そうすぎます。

そして、2回目。
自暴自棄になってしまい彷徨う茉莉を、
当てもない中、街のあちらこちら、何度も何度も和人は探す。
やっち出逢えた二人に言葉なんていらなかった。
そこには、お互いの温もりを感じ合うための
抱擁が必要だった。

茉莉は和人に寄りかかろうと、
和人は茉莉に寄り添おうと、
お互いがそれぞれ、相手を受け止めることを
決めた瞬間に思えた。

最後、3回目の抱擁はあまりにも辛い。
初めて二人で夜を過ごした。
これが二人で過ごす最後の夜になることを、
茉莉はわかっていて、そうすることを決めていた。

これまで以上に深い関係になれたことを
実感していた和人とは反対に、茉莉はある決心をして、
一人帰路につく。

帰る茉莉を引き留めようと追いかける和人。
二人は抱き合い、茉莉は和人に別れを告げる。
希望に満ち溢れた和人に自分の運命を背負わせたくない…
茉莉の辛過ぎる決心に、重たい気持ちになってしまった。
どうすればいいのかわからない和人も可哀そう。

抱きしめ合う、抱擁にいろいろな意味を持たせている演出が
すごく印象的で、切なさを大きくしている。

まとめ

この作品は、始めから受け止めなければいけないラストがある。
それは、誰もがわかっている。
茉莉が旅立つこと。
どんなに、美しい演出を施しても、
世界から茉莉が居なくなってしまうことに、
モヤモヤとした何とも言えない気持ちを引きずってしまう。

茉莉が姉や母に対してストレートな自分の気持ちを
ぶつけたシーンで、父親役の松重豊さんがスーッと涙を流す
カットはもうダメでした。
涙が止まらなくなってしまいました。

茉莉ちゃん、がんばったね。

そんな軽い言葉では気持ちの整理はつかない。

ただ、私は茉莉が自暴自棄になって我慢していた揚げ物やピザなどを
食いつくシーンが、好きです。

茉莉が、というよりも小松菜奈さんの大食いシーンには、
いつもグッときてしまう。

ヤケになっている姿は、人間らしくて、愛おしい。

映画「糸」でかつ丼を頬張るシーンは最高でした。
自分でもガッツくときにはいつも、小松菜奈さんを思い出す。
きっと藤井道人監督も、好きなんじゃないかな。

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生きていられることは必然ではない。
いつ、どんな瞬間に、自分の命の期限が告げられるかは
誰にも分らない。

だからこそ、きょう一日を全力で悔いがないように
生きなければいけない。
きょうを生きられなかった多くの人のために。

そんな気持ちにさせる映画でした。

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