前略 深山大翔弁護士
今回も圧倒的に不利な状況からの大逆転、圧巻でした。違和感がある点と点を検証し、事実を明らかにしていくのは、深山弁護士の真骨頂。すばらしい結末でした。
15年前に天華村のワイン工房で起きた毒物殺人事件。裁判で「殺人者」となってしまった被告は無罪を主張し続け、亡くなってしまう。過去の検証を細かく分析し、再検証することで不審のある点を明らかにし、事実を事実とする深山弁護士の真っ直ぐな仕事に、ラストは涙なくして見られませんでした。
「99.9-THE MOVIE」あらすじ
2016年と18年にTBS「日曜劇場」で放送された松本潤主演の人気ドラマ「99.9 刑事専門弁護士」の劇場版。
常に事実だけを追求し、99.9%逆転不可能と言われる刑事事件で最後の0.1%まであきらめずに真実を追求し、無罪を勝ち取ってきた型破りな弁護士・深山大翔。斑目法律事務所の刑事事件専門ルームは、室長から所長へと昇格した敏腕弁護士・佐田篤弘のもと、新人弁護士の河野穂乃果も加わり、事件に挑む日々を送っていた。
ある日、15年前に起きた天華村毒物ワイン事件に関する依頼が舞い込む。
事件には謎の弁護士・南雲とその娘エリが関わっていた。
村の青年・守の協力を得て、事件を徹底的に調査していく深山たちだったが、
思わぬ罠が彼らを待ち受けていた。
引用:https://eiga.com/movie/94587/
【ネタバレ】事実を知ることが必ずしも幸せではない
深山に期待し続ける元所長の斑目の言葉だ。今回のストーリーは、冤罪で悲しく辛い人生を送ることになってしまった家族を救うことと、真犯人が明らかになることでこれから辛い人生を送ることになる家族の物語になっている。
仲の良い村人たちが、総出で結託して事実を隠ぺいする。まだ何も知らない大切な村の幼い子どもたちを守るために。その結果、冤罪が生まれ、不幸な家族をつくりだしてしまう。
すごく重たいテーマで、当事者であれば、例えばわが子が子どもであるが故に純粋な気持ちで知らずに毒物を混入してしまい、人の命を奪ってしまったら、恐らくこの子のこれからの人生を守るために、その事実を抹消しようとする大人たちの気持ちも分からなくはない。結びつきの強い地域であればあるほど、起こりうることなのかもしれない。優しさが溢れる一方で、無実の人の人生と命を奪ってしまうほどの悪行で、断じて許せない。
事実が明らかになったとき、正直複雑な気持ちになったのは否めない。
それでも、事実は事実として受け止めなければいけないし、そもそも無実なのに罪を押し付けられて罰せられた冤罪は、絶対に起こしてはならない。今回の作品はスッキリしつつも、どこか真犯人を恨みきれない複雑さを感じさせる。過去は変えることはできないが、今から進む未来のために事実を受け入れるしかない。
余談だが、この複雑な感情は、もしかしたらなにわ男子の道枝くんがキャストだったことも関係しているのかも知れません。
型破りなキャストらの歯切れの良さに感動
この作品の魅力の一つは、嵐の松本潤さん演じる深山と斑目弁護士事務所の仲間たちとの小ネタ含めた息の合ったやりとりだ。今回も裏切らない。
テンポの良さとキレの気持ちよさは、もはや「芸」としかいいようがない。
深山と香川照之さん演じる佐田、深山と片桐仁さん演じる明石や馬場園梓さん演じる中塚、そして新キャラの杉咲花さん演じる穂乃果。どれをとっても爽快で、エンディングではお腹いっぱいどころか、次は?もっとー!と欲しがる状態にまで調教されてしまう。
ドラマ開始からの長い年月をかけてきたからこその撮影現場のキャスト、スタッフの団結力を感じました。全く時間と飽きを感じさせない最高のエンタメです。
そして、エンディングの小ネタ、ホワイトボードに書かれた「またいつか」のメッセージは、ファンならずとも次回作を期待せずにはいられません。「またいつか」映画館で会えるように、元気でいましょう!
PS
本作でも西島秀俊さんの演技にハマってしまいました。
「ドライブ・マイ・カー」を観て以来、西島さんにドハマりしているので、「99.9-THE MOVIE」でも観ることができて本当にうれしかったです。「ドライブ・マイ・カー」もそう、放送中のドラマ「真犯人フラグ」もそう、そして本作も。西島さんが演じるキャストが背負い続けているものは何なんだろうとずっと気になってしまう。演技でそれを見せ続ける西島さんが、今はお気に入りの俳優です。