前略 久武忍さま
しのぶくん、あなたの周りに流されることなく、
すずに寄り添い、見守り続けている姿勢に心奪われました。
学校ではスポーツ万能で、クールな二枚目。
同性からするといけ好かないイヤなヤツだけど、
カッコ良過ぎんだよ、しのぶくん。
君たちの年ごろと言えば、
いっぱい遊びたいし、異性とも仲良くしたい。
君くらいのビジュアルと雰囲気があれば、
絶対にモテる。
モテ捲る、はず。
そんな君が、お母さんを失ったすずのことを、
6歳のころからずっと見守り続けている。
「続けている」ことに、すごく胸を打たれた。
知らない子どもを助けるために、
大好きなお母さんは川に飛び込み、
自分の目の前で命を失った。
そんな辛すぎる現実を背負ったすずのことを、
ずーーーっと見守り続けているしのぶくんは、
最高にいい奴だ。
幼なじみを想う、
一人の女性として思う、
すずに対するあなたの真っ直ぐな姿勢が大好きです。
ラストのしのぶくんの告白、最高すぎです。
「竜とそばかすの姫」あらすじ
50億人がすれ違う
美しくも残酷な仮想世界。
ベルの歌声は世界を変える――
自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、
幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、
その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。
曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、
親友に誘われ、全世界で50億人以上が集う
インターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。
<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、
まったく別の人生を生きることができる。
歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては
自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、
歌姫として世界中の人気者になっていく。
数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。
突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、
「竜」と呼ばれる謎の存在だった。
乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。
そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。
一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。
やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探しアンベイル。
<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは
竜を執拗に追いかけ始める。
<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、
竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、
ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。
現実世界の片隅に生きるすずの声は、
たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、
奇跡が生まれる。
もうひとつの現実。もうひとりの自分。
もう、ひとりじゃない。
「ひとりじゃない」という強さを知る
「U」という仮想現実と現実の世界を行き来する映画。
現実では、地味でイケてない高校生のすずが、
仮想の世界でスターになる、
そんな単純なストーリであるはずない。
すずが抱えたバックグランドや
幼いことから背負い続けているすずに
寄り添い、優しく見守り続ける合唱団のおばちゃんたち。
そして、幼なじみのしのぶくんや親友のヒロちゃん…
登場するみんなが、温かくて、優しくて、
自分の人生を生きようともがくすずを、
ただただ、応援し、見守り続ける。
「ひとりじゃない」という強さを、
それを何度も何度も感じられて、
スクリーンに向かって、声援を送り続けていた。
そこは、仮想でも、現実の世界も関係のない、
「個」の存在を認め、尊重する「心の世界」のような
気がする。
「U」でBelle(すず)が竜に向けて歌い、
Belleを観に集まったアズたちもいっしょに歌う。
竜を救うために歌声を響かせたあのシーンでは、
感情が崩壊して、涙ぐっしょりになってしまった。
もうすぐそこの「未来」を観ている気分
映画を観てしばらくして、改めて考えてみた。
「U」という仮想現実では、自分と同期されたアズが存在する。
そして、隠れた能力を引っ張り出して、新しいキャラとして、
「U」で存在し続ける。
【参考】
<U>ユー
この世の知性を司る5人の賢者「Voices」によって創造された究極の仮想世界。
全世界で登録アカウント50億人を突破してなお拡大を続ける史上最大のインターネット空間。ボディシェアリング機能を有しており、<U>の世界ではその人の隠された能力を無理やり引っ張り出すことができる。
<As>アズ
“もうひとりの自分”と呼ばれる、<U>における自分の分身。スキャンした生体情報から自動生成が行われ、デバイスが常時本人の生体情報と連動している。
Asを2つ所持することは不可能。
映画の世界のようで、
いや、これってもう来てるんじゃないか?
とリアルを感じさせられる。
細田監督の頭の中って、どうなってんだろう。
現実と離れたとんでもない世界の話しなんかではなくて、
「優しさ」と「応援」、「守る」ということが、
何回も何回も繰り返し、感じさせられた。
ネットの世界が拡大し続けたとしても、
この現実世界に存在しているのは、私。
多様な人や生きものが存在する世界の中でお互いに存在を認め、
「優しさ」と「応援」、「守る」、
その心を持って、生きてきたい。