罪の声、映画の中で実話と記憶が交錯。ジャーナリスト魂を実感。

映画

前略 塩田武士さま

映画「罪の声」を映画館で観た。
わたしが子どもだったころ、スーパーからキャラメルなど
お気に入りのお菓子が消えた。

「どくいりきけん、たべたらしぬで」

かい人21面相が繰り広げた劇場型事件は連日報道され、
小学生のわたしでもその当時の異様さは記憶に残っている。

映画は、80年代に起きた「グリコ・森永事件」を思い起こさせ、
事件の真相と真犯人を私に追い求めさせる。
「事件はまだ終わっていない」と訴えるかのようだ。

映画「罪の声」あらすじ

35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。
食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、
そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、
警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に
忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、
日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪――。

大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、
既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、
取材を重ねる毎日を過ごしていた。

一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、
家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に
古いカセットテープを見つける。
「俺の声だ――」
それは、あの未解決の大事件で犯人グループが
身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!

やがて運命に導かれるように2人は出会い、
ある大きな決断へと向かう。

「正義」とは何か?
「罪」とは何か?

事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者の阿久津と、
脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に
関わってしまった俊也を含む3人の子供たち。
昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、
35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、
衝撃の真相が明らかになる――

引用 https://tsuminokoe.jp/

小栗旬演じる阿久津記者がカッコ良すぎる

新聞記者の阿久津を演じる小栗さんが、
とにかくカッコイイ新聞記者を演じた。
新聞記者が主人公の映画はたくさんあるけれど、
この作品を見て、新聞記者を目指したいと思う
若者が出てくると思う。

事件の真相を暴いて、
真犯人をペンで裁く

真実を明らかにするために
取材と称して行き過ぎた行動で
世間から批判を浴びることもあるが、
迷宮入りした事件の真相を詳らかにすることこそ、
新聞記者、ジャーナリストの真骨頂だ。

個人の意見を発信できる今の時代にこそ、
取材力と行動力で真相に迫る新聞記者の発信は、
信じられる情報として大切に感じる。
正義感あふれる小栗さんの演技は、
本当に秀逸で、カッコよかった。

80年代の事件、真相解明と錯覚

小学生のころお菓子が売り場から消えた。
そして、キャラメルに透明のラッピングがされて
販売されるようになった。
その記憶は、鮮明に残っている。
母さんが、そのころお菓子を買ってくれなかった理由が、
毒が入っているかもしれない、だったから。

40年近く昔の事件を舞台となって、
真相と真犯人が明らかになる。
もちろん、フィクションなのはわかっているが、
映画を観ているうちに、その中で起こっている事件が、
まるで、子どものころに起きた「グリコ森永事件」が、
明らかになったような錯覚に陥る、不思議な感覚になる。

曖昧な事件の詳細な記憶と、
センセーショナルな劇場型の事件が
都合よく結びつき、自分の中で事件を解決する。
見終わった後の何とも言えない不思議な感覚は、
謎が解けたことと、事件の裏に悲しい事実が
あったことを知ってしまったことが原因かもしれない。

【まとめ】子どもを利用した大人たちの罪

映画「罪の声」を観終わって、謎解きが解けたようなスッキリ感と、
金が絡む大人の事情の渦中に子どもがいた事実に
モヤッとした感情が沸いてきた。

映画「罪の声」は塩田武士さんが書いた小説を原作とした
フィクションだ。

そんなことはわかっているが、自分の記憶の中に残るカケラが組み合わさり、
謎が解かれ、真相が明らかになる爽快感は堪らない。

次々と伏線を回収していく展開は、最後まで緊張しっぱなしだった。
巧みなストーリー展開は圧巻だ。

最後に全ての謎が解けたはずなのに、どこか釈然としない。

原因は、この事件には3人の子どもが、
犯行グループの一人として関わらされたからだ。

何もわからない子どもたちは、
自分が信用する家族のエゴのため、
罪に手を染めてしまった。

ある姉弟は、事件に関わった父親を殺され、
残った母親と自分たちは、監禁状態で
全ての生きる自由を奪われた。

自由を求めた姉も命を失い、
一人残された弟は、身を潜めながら生きていた。

一方で、オジと母親によって
事件に巻き込まれた少年は、
大人になり、自分と事件の関係を知ってしまう。
そして、自分が犯した罪が明らかになることを
恐れながら生きる。家族にも話せず、
孤独に押し潰されそうになる。

真相が全て明らかになっても、
この3人の子どもたちが背負う苦しみは変わらない。
それを思うと、辛い結末の映画だが、
そんな辛い事実と真摯に向き合い、
正しくあろうとすることこそ、
子どもたちが背負う不幸を知った
大人の責任なのかもしれない。
お金がもとで起きた事件を防ぐには、
お金に振り回されないお金との関わり方を
学ばなければならないなとつくづく感じた。

映画『罪の声』予告【10月30日(金)公開】
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