映画「犬鳴村」、恐怖で終了後60分震えが止まらない。トンネル、車、電話ボックスに注意。ホラーの魅力に憑りつかれる。

映画

前略 「ほん怖」好きの小学生諸君

 元SMAPの稲垣吾郎と子どもたちが進行役を務めるドラマ「本当にあった怖い話」。怖いもの見たさで楽しみにしている小中学生がメインの視聴者だろう。そんな子たちに言っておきたい。

 映画「犬鳴村」は無理してみちゃダメだ。

 マジで怖い。

 シャレにならない怖さで途中、スクリーンの前から逃げたくなる衝動に駆られるだろう。だけどなぜだろう、体が動かない。もう、恐怖でパニック状態のまま、息をすることを忘れてしまう。

映画「犬鳴村」のあらすじ

 臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……

 引用 https://eiga.com/movie/90455/

福岡県の心霊スポットが舞台

 映画「犬鳴村」は、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラーだ。昭和、平成の時代には、車の免許を取ったら、夜な夜なそこへ行くのが若者たちの定番だった。そして、そこで見たという幽霊だか何だか知らない心霊現象を自慢げに話し、ヒーローとなるみたいな。

 今回、映画で描かれているストーリーは、私がかつて見聞きしたことがある都市伝説を具体化した恐怖に、恐怖を重ねた逃げ場のない展開だった。心霊スポットに興味本位で行ったことで、憑りつかれてしまい、おかしくなり、命を落とす。そして、犬鳴村に関わることで次から次に、人が死んでいく。終わりの想像が、できない。

 過去と現在、家族と血縁。

 過去の積み重ねで、現在があるとすれば、いま、自分があるのは家族、祖先がいたからこそ。そういう「時」「血」のつながりを感じる作品だ。

 そして、暴力で制圧された恨みは、時を越え、はらされることなく、つながることの怖さを実感させられる。

館内が明るくなる瞬間が超絶怖い

 元来、ホラーは嫌いだ。

 お化け屋敷も苦手だ。

 だけど、この作品には興味があった。ホラー愛好家の多くが、この映画に対して高い評価をしていたから、ホラーとしてではなく、作品としてその魅力を知りたいと感じだからだ。

 開演前の普段にはない緊張感。21時から始まるレイトショーと新型コロナウィルス感染対策の影響か、館内には10人程度の男ばかり。年齢層は20代の学生風の子たちとサラリーマン。「始まるぞ、、、」と小声で言っている人もいる。

 男しかいなかったからか、驚かせるシーンの数々があっても、「キャーーーーーッ」という黄色い声は響かなかったけれど、声も出ないくらいの恐怖を何度も覚えた。

 ネタバレになってしまうけれど、電話ボックスに入るのが怖くなるし、トンネルに入っていくのが怖くなる。そして、車に乗ってルームミラーを見るのが、マジで怖くなる。画面の中に伏線として、ちょいちょい見切れる幽霊が、ジャブとなって恐怖心をあおる。ストーリーとその後に続く期待感もあり、リピーターが続出しているのも納得できる。私はもう行かないけれど(震)

 ただ、言っておく。

 無理をして行ったら絶対にダメ。

 特に、「ほん怖」好きな小中学生は、夜寝れなくなったり、トイレに行かれなくなることを覚悟して観るべし。夢にも絶対に出るから。

 終演後60分、体の震えが止まらず、家に帰っても、物音にいちいちビクビクしてしまうくらい、怖い怖いエンタメだ。

高島礼子の憑依が怖すぎ

 主演は若手注目女優の三吉彩花さんが務める。この映画、勝負賭けてると思うのもそのはず、脇を固める俳優陣が超豪華。

 高嶋政伸さん、 寺田農さん、石橋蓮司さん、奥菜恵さんなど錚々たる面々。

 中でも私が度胆抜かれたのが、高島礼子さんだ。

 高島さんは、主演の三吉さん演じる奏の母親で、高嶋政伸さんの妻という役柄。亭主関白の夫に従順な妻でありながら、息子たちが「犬鳴村」に関わり行方不明になったのを機に、凶暴な犬に憑依する。その生々しい演技に恐怖を覚えた。演出の妙もあるのかもしれないが、高島さんの表情や豹変ぶりは、この作品の中で、恐怖をあおるエキスの一つと言えるだろう。

 海外進出も視野に入れた日本映画の本気を、垣間見た。

犬鳴村 予告 60秒
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